• レポート
  • 2020.10.28

教育のチャレンジ-実際近づかないで近づく

高校で教え始めてから各学年にいろいろなチャレンジがあると分かるようになりました。それは毎年のチャレンジ(クレアンガ高校の日本祭り、スピーチ大会、卒業試験など)や毎日のチャレンジです。しかし、今年の3月から世界中で根本的な変化がありました。新型コロナウイルスのせいで授業はオンラインになりました。

オンライン授業を運営する著者

ルーマニアの学年は9月15日頃から6月15日頃までです。2020年は、新型コロナウイルスの感染が拡大し、ルーマニア政府によって学校は閉鎖され、3月11日から普通の授業が終わって、みんなうちからパソコンや携帯などで授業を始めるようになりました。この変更はすごく急でしたから準備する時間があまりありませんでした。その理由でやりながらオンライン授業の運営を勉強しなければなりませんでした。

毎日授業をSkypeとZoomでやりました。その後Webexを勉強して、それを使うようになりました。普通のクラスでホワイトボードをよく使いますが、パソコンでは代わりにワードを使いました。宿題や生徒のレポートのためGoogle Classroomはよかったです。みんなで勉強していましたから、全部スムースだったといえません。こまった時もありました。一番多いのは技術的な問題でした。例えばインターネットのスピードがよくない時やマイクが使えない時やカメラが使えない時などの問題がありました。一般的な授業と同じリズムで教えるのは難しいと分かって、教科書よりオンラインリソースを使い始めました。

日本語と日本の文化を教えていますから、オンラインリソースで色々な体験を伝えられました。これがオンラインの授業でよかったことです。例えば、奈良のバーチャル・ツアーをやって、富士山に登って、日本の歴史について勉強して、生徒と一緒に楽しい時間を過ごしました。

生徒が調べて作った、猫のおにぎり

普通の授業ではテストやレポートで生徒に成績をつけますが、授業も特別だったのでテストも特別にしようと思って、日本食のチャレンジをしました。生徒にインターネットで色々な日本食のレシピを調べてもらい、作ってもらいました。生徒たちは普通と違うタスクがあったから、みんなわくわくしてよく頑張りました。作った料理の写真をGoogle Classroomにアップロードして面白かったです。

オンラインの授業はいろいろなチャレンジがあります。例えばパソコンの使い方にそんなに上手ではない人もいる。家で授業を受けるモチベーションがない人もいるし時々技術的な問題もありますが、このコロナの間、クラスと先生のオンラインコミュニティが本当に役に立ったと思います。普通と同じように会うことができなくてもオンラインの授業の時に会ったり話したり勉強したりできたのはみんなに良かったと思います。

どんどん授業時間以外も先生も生徒もWhatsAppなどのアプリで日本語と日本の文化についての色々な面白いインフォメーションをシェアし始めて、話は授業の後も続きました。実際には同じクラスにいなかったのに、長い間オンラインで生徒と時間を過ごして皆と近づくようになったと思います。

生徒が作った日本食(照り焼きチキン、ポン酢サーモン、野菜、御飯、紅茶、「愛媛」みかん)

人間関係はいつでも特に大切なことだと思いますが、数か月前よりも今はもっと大切になりました。大人もこんな気持ちがあると思いますが、子供やティーンエイジャーは他の人と話したり近づいたりすることを特に大切にします。新型コロナウイルス感染拡大による学校閉鎖の間は、テクノロジーのおかげで、クラスで授業をしなくても、生徒たちに近づくことができるようになりました。

世界中でみんな社会的距離、social distancingについて話していますが、用語の意味はちょっと間違っていると思います。新型コロナウイルスの時代にインターネットのおかげで人が実際に近づかなくても社会的に近づくようになったと思います。日本語では「人混みを避ける」と言いますしそれは安全のためのアドバイスをよく伝えています。しかし、ルーマニア語や英語でsocial distancingというと社会から分かれるという意味です。今は、先生、同級生、友達と自由に会えなくてもインターネットでその方と連絡したり時間を過ごしたりできるので社会的な関係は強くなると思います。

正直に言うとオンライン授業より普通のクラスでの授業のほうがいいともいます。しかしこの難しい時期に教育と親しい人間関係が続けることができるので希望に満ちています。

著者略歴

イワナ・アタナシウ・バナー(Ioana Atanasiu Banner):ルーマニア・ブカレスト市出身。ブカレスト大学より学士号、修士号取得後、現在、ブカレスト市にあるイオン・クレアンガ(Ion Creanga)高校で日本語教師として教鞭をとる。主に、高校9~12年生向けの初級、初中級、中級日本語や、日本の文化と社会に関する授業を担当する。日本の宗教と伝統的な文化、そして、日本語の諺(ことわざ)について強い関心を持ち、2006-2008年に文部科学省の奨学金で奈良教育大学に留学し、日本語・英語・ルーマニア語における諺の比較研究を行った。第一回NF-JLEP日本訪問プログラム参加フェロー。