インドネシアでは、1997年にインドネシア教育大学に基金が設置され、現在は、インドネシア教育大学、 国立スラバヤ大学、マナド国立大学の成績優秀な大学生、大学院生への奨学金給付などの事業を実施しています。
プログラムの一環として、修士論文の執筆を目的とした来日研究奨学金を支給しています。2016年度の奨学生、インドネシア教育大学修士2年生のシティ・ファリダ(Siti Faridah)さんが、2017年1月(詳細はこちら)に続き、2017年4月に再び事務局を来訪し、金沢大学での来日研究の報告をしました。
ファリダさんは、金沢大学人間環境研究科(博士前期課程)の特別研究生として、同大学人間社会研究域・歴史言語文化学系の先生の指導のもと、3か月間の研究活動を行いました。文献などで情報収集をし、先生との定期的な面談や報告をしながら論文作成を進めるとともに、大学の講義の聴講や、研究会に出席する機会も得られました。
修士論文では、恋愛歌謡曲の歌詞における比喩表現をテーマに、認知言語学の観点からインドネシア語と日本語の対象研究を取り上げています。来日期間中は、主に、認知言語学のメタファー理論を用いて、インドネシア語、日本語の恋愛をテーマとする曲の歌詞の分析を行いました。分析の結果、日本語の歌詞には比喩表現が多用される一方で、インドネシア語の歌詞はくり返しや類義語が多用されるという特徴が見られました。また、インドネシア語の歌詞には、日本語の歌詞にはあまり見られない「第三者としての比喩」が用いられていることも分かりました。これらの分析結果を日本語教育にどう活用できるかが、本論文の結論となります。ファリダさんは帰国後、6月を目指して修士論文を執筆します。
研究のみならず、金沢で3か月を過ごし、文化や人々との交流を通じて得られた学びが、ファリダさんの日本語教師や研究者としての将来に大きく活かされることと思います。修士論文の完成と、彼女の今後の活躍が非常に楽しみです。